住宅ローン控除・ふるさと納税の併用で気を付ける点
前回、住宅ローン控除についての記事を書きました。人によっては住宅ローン控除が全額控除できない場合があることを伝えています
今回は住宅ローン控除とふるさと納税を併用した場合はどうなのかという点を見ていきたいと思います。
Contents
住宅ローン控除とは
冒頭の関連記事を見てもらった方が早いのですが、簡単に説明しておきます。
住宅ローンの契約開始から10年間、ローンの残高の1%を所得税や住民税から控除することができます。※増税後は13年です。
ふるさと納税とは
好きな自治体に寄付をすることができて、そのお礼に特産品を受け取れる。さらに税金の控除が受けられるという仕組みです。
ふるさと納税も住宅ローンと同じで所得税や住民税から控除される制度になります。
問題は住宅ローンと併用できるのかという問題です。答えから言うと併用可能です。もう少し詳しく見ていきたいと思います。
ふるさと納税の流れ
ふるさと納税を使う場合の流れは、簡単に以下のようになります。
- 寄付する自治体を決めたら申し込む。インターネットが簡単ですが、電話やFAX、メール等でも対応しているようです。
- 支払いをする。指定口座に振り込む。クレジットカードも可能な自治体もあるようです。
- 寄付金受領証明書が届く。
- 申告をする。(確定申告、ワンストップ特例制度)
- 還付・控除される。
ふるさと納税の控除を受ける方法は2種類
ふるさと納税の控除を受ける場合、「確定申告」を行うか、「ワンストップ特例制度」のどちらかを利用します。
ワンストップ特例制度とは
ワンストップ特例制度は確定申告する必要がない人がふるさと納税を利用する場合、税金控除の手続きを簡単に行えるようにした制度です。
こちらを利用する場合は以下の条件があります。
- ふるさと納税先の自治体が5つ以内である(同じところの自治体を複数利用するのは可能)。
- 確定申告する必要がない給与所得者である。
住宅ローン控除があり、ふるさと納税の控除をワンストップ特例制度で行う場合の流れ
- 所得税から住宅ローン控除額が控除される。
- 所得税から住宅ローン全額控除できなかった場合は、住民税から住宅ローンが控除される(上限13.65万円)
- 住民税からふるさと納税が控除される。
ワンストップ特例制度でシミュレーション
- 例1: 所得税額: 20万、住民税: 20万、住宅ローン: 40万、ふるさと納税: 5万
- 流れの1番の計算を行います。所得税額20万から住宅ローン控除額40万が実行されて所得税が0になります。(住宅ローン控除40万 – 所得税額20万)住宅ローン控除額が20万残っている状態です。
- 流れの2番の計算を行います。住民税から残りの住宅ローン控除額20万を控除したいところですが、上限が13.65万円までなので、(住民税20万 – 住宅ローン控除13.65万)住民税の残は6.35万円。
- 流れの3番の計算を行います。6.35万からふるさと納税5万円控除される
上記の例では、住宅ローン控除額が大きいため、住宅ローン控除がすべて控除できませんが、ふるさと納税に影響がでているわけではありません。
ふるさと納税額が5万円だったのため、ふるさと納税額は全額控除できましたが、8万円の場合はすべて控除できないということになります。
※寄付した金額から2000円を除いた額といった計算はややこしくなるため省略してます。
住宅ローン控除があり、ふるさと納税の控除を確定申告で行う場合の流れ
- 所得控除としてふるさと納税額が控除される。
- 課税所得が確定する(ふるさと納税金額が控除されるため課税所得が低くなる)。
- 課税所得から所得税が確定する。
- 所得税より住宅ローン控除額が控除される。
- 所得税から住宅ローン全額控除できなかった場合は住民税から住宅ローン控除額が控除される。
確定申告でシミュレーション
- 例2 所得税額: 20万、住民税: 20万、住宅ローン: 40万、ふるさと納税: 5万
- 流れの1番の計算を行います。ふるさと納税額が所得控除されるため課税所得が低くなります。
- 流れの2番、流れの3番が決定します。結果、所得税額が18万まで下がったとして計算していきます。
- 流れの4番の計算を行います。所得税額18万から住宅ローン控除額40万が実行されて所得税が0になります。(住宅ローン控除40万 – 所得税額18万)住宅ローン控除額が22万残っている状態です。
- 流れの5番の計算を行います。住民税から残りの住宅ローン控除額22万控除したいところですが、上限が13.65万円までなので、(住民税20万 – 住宅ローン控除13.65万)住民税の残は6.35万円。
確定申告で行なった例はふるさと納税額が先に実行されたことによって、所得税が低くなり、住宅ローン控除額がワンストップ特例制度の時より少なくなってしまいました。
住宅ローン控除とふるさと納税が併用可能な理由
ワンストップ特例制度と確定申告ではふるさと納税と住宅ローン控除が実行される順番がちがうため、ややこしくなります。
上記の流れやシミュレーションを見てもらうと、ふるさと納税額が最初に控除されるか最後にされるか違いなのですが、併用は可能だったことがわかりました。
ただし、注意点としてはふるさと納税の控除が先に行われた場合(つまり確定申告で行なった場合)、住宅ローン控除額が減ることがあります。
次に注意点を見ていきたいと思います。
住宅ローン控除とふるさと納税の併用での注意点
併用の注意点としては、住宅ローン控除額を所得税から控除し、その後に住民税から減税する場合は上限があるため(13.65万円)、所得税が少ない方は住宅ローン控除額すべてを控除できなくなる可能性があるということです。
ワンストップ特例制度での注意点
ワンストップ特例制度をする場合は先に住宅ローン控除が実行されて、その後にふるさと納税額が控除されるため、住宅ローン控除には影響がでないです。
ただし、住宅ローン控除が実行されて、住民税が減税されているため、ふるさと納税額の上限が住民税の残額を越えるとふるさと納税が控除されないという点に気をつけます。
確定申告での注意点
確定申告で行う場合は、先にも書いている通り、ふるさと納税の控除が先に実行されることで所得税が減り、住宅ローン控除に影響が出る可能性があるということに注意しておきます。
もちろん、所得と住宅ローンの額によって影響がない方もいます。そのような方はふるさと納税はおすすめの節税対策となることでしょう。
また、会社員の方のほとんどはワンストップ特例制度を使うと思うのですが、初年度については確定申告を行う必要があるため、ふるさと納税の影響を受ける可能性があるということも覚えておきましょう。
心配な方は無料で相談できるプロに相談してみましょう。
中立的なファイナンシャルプランナーに無料相談する内容の記事
住宅ローン控除とふるさと納税の限度額を確認するシミュレーションサイト
住宅ローン控除とふるさと納税を併用する場合にシミュレーションできるサイトをいくつかご紹介したいと思います。
住宅ローン併用したシミュレーションサイトがそれほど多くない感じがしました。
住宅ローン控除とふるさと納税の併用についてまとめ
住宅ローン控除とふるさと納税が併用可能だということはわかりましたが、ややこしいですね。ワンストップ特例制度が使える方は2年目からは、上限額を超えなければふるさと納税が簡単に使えますね。
確定申告する場合は、収入や住宅ローン控除額により計算がややこしくなりやすいので、注意してください。
人によっては税金対策になって、おいしい物もいただける制度なので可能なら使っていただきたいと思います。
おすすめのふるさと納税の自治体はこちらから
- ふるさと本舗:
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- ふるサポーターズ: 手続き1回でOKのふるさと納税【ふるサポーターズ】
次回は住宅ローン控除とIDECOの併用など見ていきたいと思います。参考にしてください。