NISAを利用すると住宅ローン控除に影響があるのか

住宅ローン控除とNISAを併用しても大丈夫かな?住宅ローンの控除額が減ったらこわい。
今回はこのような疑問に答えていきます。
- 住宅ローン控除とNISAは併用できるのか
- NISAはどのような節税なのか
- 上手に節税し家計の負担を減らす
上記の3つの点を詳しく説明していきます。住宅ローン控除、IDECO、小規模企業共済など節税で家計の負担を軽減している僕が体験からお伝えしていきます。
Contents
- NISAと住宅ローン控除の関係
- 住宅ローン控除とNISAは併用可能な理由
- NISAとお得と言われる理由
- NISAを利用した節税の例
- 住宅ローン控除とは
- 住宅ローン控除の概要
- 住宅ローン控除の例
- NISAとは
- NISAの口座は2種類
- NISAのルール
- つみたてNISA口座の運用
- NISA口座の運用
- 住宅ローン控除の適用期間でNISAを賢く活用するための方法
- 住宅ローン控除分をNISAで運用する
- 「NISA」より「つみたてNISA」の方が初心者向け
- まとめ
NISAと住宅ローン控除の関係
住宅ローン控除にNISAは影響がないというのが答えになります。逆にNISAを積極的に活用し、ローンの繰上げ返済に充てたりする人もいます。
住宅ローン控除とNISAは併用可能な理由
住宅ローン控除が「税額控除」という仕組みで税金が優遇されるのに対し、NISAはそれと異なる仕組みで税制優遇されるからです。
つまり節税の仕方が全然違うということです。
NISAとお得と言われる理由
「NISAがお得」と言われるのは、NISAの口座内で取引し利益を得た場合、利益に対する税金が非課税になるからです。
株式や投資信託などで利益を得た場合、所得税・住民税合わせて20.315%の税金が発生します。※復興特別所得税0.315%を含む
約20%の税金が非課税になるため、NISAも節税効果が大きい仕組みですね。
NISAを利用した節税の例
NISA口座以外の口座で、投資による利益が40万円あった場合、92,600円の税金がかかります。(40万円×20.315%)
ところがこの取引をNISA口座内で行えば、利益に対する所得税・住民税は0円となるのです。
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入した際に、条件を満たせば所得税から控除が受けられる制度です。
控除される金額が大きいため、仮に所得税から控除できなかった場合は、翌年の住民税からも控除することができます。
住宅ローン控除の概要
- 年末の住宅ローン残高の1%が所得税額から税額控除される
- 控除期間は最大10年間(※1)
- 税額控除の上限額は年間40万円
- 所得税から控除されなかった控除額は住民税から控除される(※2)
(※1)令和元年10月1日~令和2年12月31日までに購入した住宅に入居した場合、最大13年間に控除期間が延長される
(※2)住民税の年間の控除上限額は13.65万円
住宅ローン控除の例
たとえばある年の年末の住宅ローン残高が、3,000万円の場合、その1%である30万円が所得税から税額控除されます。
その年の所得税額(源泉徴収票の「源泉徴収税額」)が40万円だった場合、30万円が税額控除されて、10万円が所得税額となります。
会社員の方の多くは「源泉徴収」により、お勤め先が収入に応じて所得税を天引きしているため、年末調整をすることで所得税が還付される流れです。様々な節税制度の中でも、住宅ローン控除はとても節税効果が大きい制度といえます。
NISAとは
NISAとは、専用口座(NISA口座)を金融機関で開設し、その口座内で取引を行い、利益を得た場合に非課税になる制度です。
つまりNISAとは利益が非課税になる「口座」であり、NISAに投資をしているわけではないのです。
NISAの口座は2種類
口座種類 | NISA | つみたてNISA |
年間非課税枠 (投資可能額) |
120万円 | 40万円 |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 |
投資対象 | 株式、ETF、投資信託など | 金融庁が認めた長期運用に適した投資信託のみ |
NISAのルール
NISA口座は1人1口座しか持つことができず、たとえば2020年に「つみたてNISA口座」を開設した場合は、その年に「NISA口座」を開設することはできません。
翌年以降に「NISA口座」を開設することはできますが、その場合も同様に「つみたてNISA口座」を開設することはできなくなります。※上記の例で2020年に「つみたてNISA口座」を開設し、2021年に「NISA口座」に切り替えた場合 ⇒ 2020年に「つみたてNISA口座」で購入した投資商品は20年間(2039年まで)非課税となる
つみたてNISA口座の運用
NISA口座は「短期~中期運用」、つみたてNISA口座は「長期運用」で活用することが望ましいといえます。
実はNISAの制度が始まったのは2014年ですが、この時は「NISA口座」しかありませんでした。そして2018年に、政府が長期運用に適した制度を創設する目的で作られたのが、「つみたてNISA」です。
特につみたてNISAは、金融庁が長期運用に適した投資信託に基準を設けており、その基準を満たさなければ、つみたてNISA口座で運用することができません。
運用期間も20年と長くなったことから、長期で安定的に運用するためには、つみたてNSIA口座の方が適しているといえます。
NISA口座の運用
株式など投資信託以外に投資したい場合は、NISA口座でしか購入できないため、自分の投資スタイルに合った口座を選ぶ必要があるでしょう。
住宅ローン控除の適用期間でNISAを賢く活用するための方法
NISAは住宅ローン控除のように、直接所得税や住民税が優遇される制度ではありませんが、賢く活用すればお得になる制度です。
そこで住宅ローン控除で減税された分をNISAに回し、ローンの繰上げ返済に充てる方法を考えてみます。
住宅ローン控除分をNISAで運用する
住宅ローン控除とNISAの制度をより深く理解するために、以下のモデルケースを用いて考えていきます。
モデルケース
- 年末の住宅ローン残高:4,000万円(住宅ローン控除適用初年度)
- 現在の年齢:35歳
- 年収:500万円
- 令和2年5月より入居(控除適用期間13年間)
住宅ローン控除額は、ローン残高が減っていけば小さくなり、正確な現在額を算出することが難しいので、ここではモデルケースで控除適用期間13年間、総額300万円とします。
300万円でNISAを活用
控除適用期間が13年間と長期になるため、ここでは「つみたてNISA」を活用してみることにします。
- 300万円を13年間つみたてNISAで運用 ⇒ 1年間に約23万円投資(300万円 ÷ 13 ≒ 23万円)
- 月額約1.9万円をつみたてNISAに投資(23万円 ÷ 12カ月 ≒ 1.9万円)
- つみたてNISAで年間4%で運用していくと仮定
- 13年間運用すると約387万円に
仮に月に1.9万円を貯めていくだけ(運用はしない)では、13年後に約296万円に。
つみたてNISAで運用した場合は387万円になるので、比べると91万円の差額が発生します。
住宅ローンの繰上げ返済を検討している場合、NISAを上手く活用して運用で増やしていけば、繰上げ返済のスピードを上げていくこともできるでしょう。
「NISA」より「つみたてNISA」の方が初心者向け
はじめて資産運用にチャレンジされる方は、「つみたてNISA」からされる方がいいでしょう。つみたてNISAの特徴は、金融庁が「長期・積立・分散」に適した投資信託を選んでくれていることです。
言い換えれば、リスクが低く安定的に運用できるため、初心者向けの投資信託のみを揃えているといえるでしょう。
もちろん初年度はつみたてNISAを行い、さらに資産運用の幅を広げるために株式投資をしたい場合、来年からNISA口座に切り替えることも可能です。まずはつみたてNISAから、資産運用に取り組むのもいいのではないでしょうか?
まとめ
住宅ローンの利用時は、ローン控除で減税が受けられる一方、返済の負担が長期に渡って続きます。そのため子どもの教育費がかかる時期などは、なるべく負担を軽減させたいところです。
住宅ローン控除で減税を受けて、その分をNISAで運用によって増やし、繰上げ返済を行っていけば、効率的にローンを返済することもできます。
長期に渡って返済していく住宅ローンであるからこそ、余裕のある時になるべく返済をしておきたいところです。
このような長期目線での家計管理は、専門的な内容になることもあり、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーに相談するのもいいでしょう。
最近では無料で相談に乗ってくれるところもあるため、ぜひ一度相談してみるのはいかがでしょうか?