住宅ローンの「借入可能額」は「実際に借りられる額」ではない

生活

今の年収でどのくらい借り入れ可能なのかな?実際に借りれる金額はどうなんだろう?

今回は、このような疑問に答える内容となっています。

住宅ローンを利用する際、「自分の年収でいくら借り入れることができのか?」と気になる人は多いです。実際に金融機関の多くは住宅ローンの借入条件に、年収を設けていることがあります。

  1. 年収と借入可能額の関係
  2. 借入可能額を実際に借りられる額と考えるべきか

この後、上の2点について詳しく解説していきます。住宅ローンの審査は、「年収」よりも「借入可能額」の影響が大きいとされています。

住宅ローンを考えている方は、参考にして対策してみてください。

Contents

  1. 「フラット35」の借入可能額を確認しよう
    1. フラット35の借入可能額
    2. フラット35とは
  2. 住宅ローンの「借入可能額」は「実際に借りる額」ではない
    1. 年収500万円の人の例
    2. 年収500万の人の生活と不安
  3. 住宅ローンの借入額を決定するための3つのポイント
    1. 借入額決定のポイント① – 頭金をいくら用意できるか
    2. 借入額決定のポイント② – 返済比率が35%以下
    3. 借入額決定のポイント③ – 年収の5〜6倍以内が無理しない範囲
  4. 他に借入があると借入可能額が下がる可能性
  5. まとめ

「フラット35」の借入可能額を確認しよう

チェック

長期固定金利の住宅ローンである「フラット35」のHPで、自分の年収に応じた借入可能額を確認することができます

フラット35の借入可能額

※融資金利1.3%、返済期間35年、返済方法:元利均等返済、他の借入金無しで算出

年収 借入可能額
400万円 3,935万円
450万円 3,935万円
500万円 4,918万円
550万円 5,410万円
600万円 5,902万円
650万円 6,394万円
700万円 6,886万円

参考: フラット35「年収から借入可能額を計算」

フラット35とは

フラット35とは、全国300以上の金融機関が「住宅金融支援機構」と提携して扱う「全期間固定金利型住宅ローンです。

公的機関である住宅金融支援機構が融資を行うため、金融機関独自の住宅ローンよりも、審査基準が緩く借入可能額も多くなることが特徴です。

上記の表を見て頂くと、「思った以上に借り入れることができる」と感じられた人も多いのではないでしょうか?たとえば年収500万円の人は年収の10倍近くまで借り入れることができます。

しかし借入可能額」は「実際に借りる額」とは異なるということに注意が必要です。以下で詳しく説明していきます。

住宅ローンの「借入可能額」は「実際に借りる額」ではない

借りる時の注意

前述のフラット35の借入可能額を確認しましたが、あくまで「借りることができる金額」であることを理解しておきましょう。実際に借りる時は借入可能額以下に抑えることをオススメします。

年収500万円の人の例

実際に借入可能額である4,918万円借り入れた場合
35年で返済・融資金利13%で算出・ボーナス払い無し
毎月返済額: 14.6万円
年間返済額: 175.2万円
年収に対する年間返済額の割合: 約35%
総返済額: 6,125万円

上記のように、年収500万円で借入可能額の上限まで借り入れた場合、35年間に渡って毎月14.6万円の返済をし続ける必要があります。もちろんその間に「繰上返済」などで、借入額を減らすこともできますが、借入金額は慎重に決定した方がいいでしょう。

どのように借入額を決めればいいのか、この後詳しく解説していきます

年収500万の人の生活と不安

会社員で年収500万の方の手取り額が390万くらいになっています。ボーナスなしの場合、月で32万ほど。

この中から14.6万支払うと残りが17.4万となります。その時は支払い可能だとしても子供にお金がかかる時期や老後を考えると心配ですね。

生活していく中でどのくらいのお金がかかり、住宅ローンはどのくらいにしておくべきかなど相談できます。まずは無料のファイナンシャルプランナーに相談してみると良いかと思います。

住宅ローンの借入額を決定するための3つのポイント

ポイント

住宅ローンの借入額を決定するためには、以下の3つのポイントがあります。以下の点を詳しく解説していきます。

POINT

  • 頭金をいくら用意できるのか。
  • 「返済比率」が35%以下か。
  • 年収の5~6倍以下か。

借入額決定のポイント① – 頭金をいくら用意できるか

住宅ローンの借入れは、住宅購入価格に対して「頭金をいくら用意できるか」ということを念頭に決めるといいでしょう。

なぜならば住宅ローンの金利は、頭金を多く入れれば借入金利が下がり、毎月の返済額を抑えることができるからです。

各金融機関によりますが、住宅購入価格に対して頭金を1割入れるだけで、借入金利が0.5%も下がることもあります。借入金利は、住宅ローンを返済していく間続くため、可能であればなるべく頭金を多く入れて返済額を抑えた方がいいでしょう。

新築物件の場合は、住宅購入価格に対して2~3割が理想です。一方中古物件の場合は、審査が厳しくなることが多いため、住宅購入価格に対して4割くらいを入れたいところです。

ただし頭金を入れすぎて、緊急時のお金が不足して生活に支障がでないようにしなければなりません。生活を維持するためにも、一定金額は手元に置いておく方がいいです。

頭金は住宅購入価格の何割か入れた方がいいことは理解できましたが、そもそも住宅購入価格をいくらにするかも大切です。そこでポイントになるのが、「返済比率」という概念です。次の項目で詳しく見ていきます。



借入額決定のポイント② – 返済比率が35%以下

返済比率の理想は、35%以内に収めることです。返済比率とは、「年収に占める年間の返済額の割合」のことを指します。返済比率が高まると返済負担が重くなるため、場合によっては審査が通らなくなることもあります。

パターン①
年収: 500万円
年間返済額: 120万円
返済比率: 約24%
借入総額: 4,200万円
パターン②
年収: 600万円
年間返済額: 216万円
返済比率: 36%
借入総額: 7,560万円

※返済期間35年、金利の変動は無しで算出

パターン②の方がパターン①よりも年収が高いため、借入可能額が高くなることが予想されます。しかし年収や借入可能額だけを見てしまうと、返済比率を忘れてしまい、毎月の返済に苦労する可能性が高まるでしょう。

特にパターン②は返済比率が36%となっており、月間の返済額もボーナス払い無しで18万円となり、返済負担が重くなることが予想できます。

このように返済比率を踏まえて、借入金額を決めることは、返済負担を考慮するためにはとても重要な考え方といえます。

ではこれらを踏まえて「年収の何倍まで借入れしても大丈夫か」を考えていきます。

借入額決定のポイント③ – 年収の5〜6倍以内が無理しない範囲

前述の2つのポイントを踏まえると、年収の5~6倍以内が無理をしない借入れといえます。年収500万円の人であれば2,500~3,000万円年収600万円の人で3,000~3,600万円くらいが理想といえるでしょう。

しかし最近は首都圏を中心に、物件価格が上昇しており、4,000万円以下の物件を見つけることが困難になってきています。

そのような場合、奥さんと一緒に住宅ローンを組む「夫婦ペアローン」や、奥さんが連帯保証人となる「連帯保証型住宅ローン」を利用することも検討してみましょう。

このようなローンを利用すると、自分1人名義でローンを利用する場合に比べ借入可能額を上げることができます。

住宅ローンは長期に渡って返済していくためのものであるため、現状だけを見るのではなく、長期目線で検討していく必要があります。では最後に、「借入可能額」についての注意点をお伝えしていきます。

他に借入があると借入可能額が下がる可能性

注意する

借入可能額は住宅ローンだけではなく、自動車ローンキャッシングカードローンなどの残高も含めて算出されます。そのため他の借入れが多いと、希望通りの借入れができなくなる可能性があるのです。

もちろん借金が悪いわけではありませんが、住宅ローンを組む前になるべく他の借入れは無くしておいた方がいいでしょう。また使っていないクレジットカードが多くあると、借入可能額が下がる可能性もあります。

これはクレジットカードのキャッシング枠が関係しており、金融機関によってはキャッシング枠も借入金と見なすことがあります。不要なクレジットカードで、キャッシング枠が設定されているものがあれば、住宅ローンの審査前に解約をしておくといいでしょう。

まとめ

まとめ

住宅ローンは長期で返済していくため、今がよくても将来返済が困難になる可能性もあります。たとえば奥さんのパート収入も期待してローンを組んだが、出産・育児で奥さんがパートに出れず一時的に収入が減ってしまうことも考えられるでしょう。

そのようなことも想定して住宅ローンを組む必要がありますが、自分たちだけで解決することは難しいです。

FP(ファイナンシャル・プランナー)はお金のプロであるため、ライフプランシミュレーションを作成し、今の自分の現状でどれくらいの住宅ローンを組むことが理想かを教えてくれます。

関連記事でも住宅ローンの選び方やどのようなFPに相談すべきかについて解説しているので、合わせてお読みください。