iDeCoを利用することで住宅ローン控除額が減ってしまう人を紹介

生活

税金を減らしたい。住宅ローン控除とiDeCoを併用すると危険かな?心配

今回はこのような疑問に答えていきます。

  1. 住宅ローン控除とiDeCoの制度について理解
  2. 住宅ローン控除とiDeCoを使い節税できる人の例
  3. 損をしないために制度を理解する

住宅ローンについては以下の関連記事の中でも説明していますので、合わせてお読みください。

住宅ローン控除を受けられている方で、iDeCoも併用してみようと考えられている人に詳しく説明していきます。

Contents

  1. 住宅ローン控除とiDeCoの制度とは
    1. 住宅ローン控除の節税効果はとても大きい
    2. iDeCoは老後資金を作りながら節税ができる
  2. iDeCoは「所得控除」、住宅ローン控除は「税額控除」が受けられる
    1. 住宅ローン控除だけを利用した場合
    2. 住宅ローン控除とiDeCoを利用した場合
    3. 住宅ローン控除額が控除しきれない場合は住民税が控除される
  3. iDeCoを利用したことにより住宅ローン控除が使い切れなった場合の対処方法
    1. 夫婦ペアローンを使うことで節税できる
    2. 所得を上げる
  4. まとめ

住宅ローン控除とiDeCoの制度とは

住宅ローン控除とiDeCo

住宅ローン控除もiDeCoのどちらも節税効果が大きい制度ですが、iDeCoを利用したことによって住宅ローン控除額が減ってしまうのではないかと思われることが多いです。

しかし住宅ローン控除を受けられていても、iDeCoを使うことで節税のメリットが受けることはできます

住宅ローン控除やiDeCoの知識が0の人でも、それぞれのメリットや併用する際のポイントをわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

住宅ローン控除の節税効果はとても大きい

住宅ローン控除とは、一定の要件を満たすマイホームを住宅ローンで購入した場合に、所得税からの控除が受けられる制度です。

控除される金額は年末のローン残高の1%で、現在は最長13年間(※1)受け続けられます。※1)2019年10月の消費税増税により、10年間の控除期間が13年に延長

たとえばある年の年末のローン残高が3.800万円だった場合、ローン残高の1%である38万円がその年の所得税額から控除されます。ローン残高が比較的多い段階では、多くの人が所得税額が0になることが多いです。

ただし住宅ローン控除が適用されるためには、いくつか要件があるため、下記リンク国土交通省のHPを確認しておきましょう。 国土交通省 住宅ローン減税制度利用の要件



iDeCoは老後資金を作りながら節税ができる

iDeCoとは「個人型確定拠出年金」ともいわれ、老後の資金を作りながら、拠出する金額に応じて節税効果が受けられる制度です。

会社員の方は「厚生年金」、自営業者やフリーランスの方は「国民年金」のそれぞれ公的年金の加入が義務付けられていますが、iDeCoはそれらを補うための「私的年金」といえるでしょう。

iDeCoのメリットは、1年間の拠出した金額に応じて「所得控除」が受けられることです。

しかしここで注意点があります。

iDeCoを利用することで、「所得控除」が受けられますが、住宅ローン控除は「税額控除」が受けられるのです。つまり節税のメリットがあるといっても、それぞれの制度は控除の方法が異なります。

以下でモデルケースを用いて、「所得控除」と「税額控除」の違いを理解しましょう。

iDeCoは「所得控除」、住宅ローン控除は「税額控除」が受けられる

所得控除と税額控除の違いを明確にするために、以下のモデルケースを用いて、住宅ローン控除だけを利用した場合と、iDeCoと併用した場合を見ていきましょう。

  • モデルケース①: 住宅ローン控除だけを利用した場合
  • モデルケース②: 住宅ローン控除とiDeCoを利用した場合

住宅ローン控除だけを利用した場合

モデルケース1
・年収: 500万円(給与所得)
・年末の住宅ローン残高: 1,800万円
・所得控除:基礎控除(38万円) + 社会保険料控除(75万円) = 計113万円
①給与所得控除額の計算
500万円 × 20% + 54万円 = 154万円
②給与所得控除後の金額
500万円 – 154万円 = 346万円
③課税所得の計算
346万円 – 113万円(所得控除の合計額) = 233万円
④所得税額の計算
233万円 × 10% – 9.75万円 = 13.55万円
⑤住宅ローン控除額の計算
1,800万円 × 1% = 18万円
⑥住宅ローン税額控除後の所得税額
13.55万円 – 18万円 = -4.45万円
つまりモデルケース1の場合、所得税額がマイナスになることから、納めるべき所得税額は0円となります。

住宅ローン控除とiDeCoを利用した場合

モデルケース2
・年収: 500万円(給与所得)
・年末の住宅ローン残高: 1,800万円
・1年間のiDeCoの拠出金額:24万円(月々2万円拠出)
・所得控除:基礎控除(38万円) + 社会保険料控除(75万円) + 小規模企業共済等掛金控除-iDeCo(24万円) = 計137万円
①給与所得控除額の計算
500万円 × 20% + 54万円 = 154万円
②給与所得控除後の金額
500万円 – 154万円 = 346万円
③課税所得の計算
346万円 – 137万円(所得控除の合計額) = 209万円
④所得税額の計算
209万円 × 10% – 9.75万円 = 11.15万円
⑤住宅ローン控除額の計算
1,800万円 × 1% = 18万円
⑥住宅ローン税額控除後の所得税額
11.15万円 – 18万円 = -6.85万円
つまり住宅ローン控除とiDeCoを併用した場合も、住宅ローン控除だけを利用した場合同様に所得税額は0円となります。

住宅ローン控除額が控除しきれない場合は住民税が控除される

モデルケース2では「節税のために」と思って行ったiDeCoですが、住宅ローン控除のみを利用した場合と同じ所得税額は0円で、節税のメリットが感じられません。

住宅ローン控除で所得税が控除しきれない場合は、住民税からも一定条件のもとで控除できる仕組みとなっています。

翌年の住民税から上限13.65万円までが控除が可能です。

モデルケース2の場合は、⑥税額控除後の所得税額が-6.85万円となりました。つまり6.85万円が所得税から控除しきれなかった税額です。

住民税は住んでいる自治体によって、税率が異なりますが、多くの場合10%前後であるためここでも10%で計算してみます。

住民税額 = 209万円(課税所得) × 10% = 20.9万円
20.9万円(住民税額) – 6.85万円(控除しきれなかった税額) = 14.05万円

つまりモデルケース2の場合は、住民税が6.85万円控除され、14.05万円になりました。※モデルケース1の場合も4.45万円控除しきれなかったため、同様に住民税から控除されます

このように、上限額は設定されていますが、住宅ローン控除が所得税で控除されなかった場合は、住民税からも控除されます。

iDeCoを利用したことにより住宅ローン控除が使い切れなった場合の対処方法

iDeCo対処方法

住宅ローン控除が所得税から控除仕切れなかった場合は、住民税から控除されますが、上限が13.65万円です。そのため13.65万円を超える場合は、諦めざるを得ないのでしょうか?

しかし住宅ローン控除が住民税から控除しきれない場合でも、対処できる方法が2つあります。

夫婦ペアローンを使う

夫婦ペアローンとは、夫婦がそれぞれ住宅ローンの契約をする方法です。たとえば住宅価格が4,000万円だった場合、夫が2,500万円、妻が1,500万円のローンを組みます。

夫婦ペアローンのメリットは、1人で借り入れる時に比べて借入金額が多くなることです。また同時に夫婦それぞれで、住宅ローン控除を使うことができます。

つまり1人で住宅ローンを組み、同時にiDeCoに加入し、住宅ローン控除が所得税・住民税から控除しきれないとわかった場合は、夫婦ペアローンを活用することが考えられるでしょう。



所得を上げる

日本の税制は累進課税で、所得が多くなるごとに税率が上がり、納税額も多くなります。つまり住宅ローン控除とiDeCoの併用で、控除しきれない場合は、所得を上げることで対処できるといえるでしょう。

たとえば妻が専業主婦の場合はパートで扶養を外れるまで働いてもらう、すでにパートで働いている場合はフルタイムで働いてもらうなどの対応が考えられます。

しかし所得を上げるためには限界もあるはずです。その場合はiDeCoで老後資金を作るのではなく、つみたてNISAを活用することを検討してみましょう

つみたてNISAはiDeCoと異なり、所得控除は受けられませんが、20年間に渡り運用で得た利益が非課税になります。(通常は所得税・住民税合わせ20.315%の税金が発生する)老後の資金作りは、iDeCoだけではないため、様々な制度を活用してみるのもいいでしょう。

まとめ

まとめ

住宅ローン控除もiDeCoも、節税対策としてはとても有効な手段です。しかし制度をしっかり理解していないと、損をしてしまうこともあります

特に日本の税制は、世界の税制と比較しても複雑といわれます。そのため自分で税金の計算がすることが難しい場合は、お金のプロであるファイナンシャルプランナーに相談してみるのもいいでしょう。

最近は無料で相談を行ってくれるファイナンシャルプランナーもいるため、気軽に相談してみるのはいかがでしょうか。