老後資金を作る方法を紹介。老後が不安な人はFP相談もおすすめ
2019年6月に金融庁が公開した、「老後2,000万円不足問題」をご存知の方も多いことでしょう。
この報道を受けて、これからは公的年金だけではなく、自助努力で老後の資金を準備をしなければならないといえます。しかし老後にはどれくらいのお金が必要で、どのような準備の仕方があるのかわかりにくいのも現状です。
- 住宅ローンを組むと老後の年金生活が心配
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- 老後の資金を作る方法を知っておきたい
今回は、このように老後が心配で住宅ローンを組むのが不安な方にむけて、公的年金の現状を踏まえ、自助努力で老後の資金を作る方法についてお伝えしていきます。
老後の生活費は公的年金だけでは足りない
日本の年金財政は厳しい状態が続いており、公的年金だけでは安定した老後の生活を送れない可能性が高まっています。
日本の年金制度は、現役世代から高齢者へお金を送る仕組みであり、少子高齢化が進む日本では、制度を維持することが難しくなる可能性があるのです。
また老後には生活費の他に、介護費や医療費などがかかり、さらに住宅ローンが残っている場合には、これらが家計に重くのしかかることも充分に考えられます。
公的年金以外にも、自分で老後の資金を作っておくことで、安心した老後を迎えることができるでしょう。
公的年金はいくらくらい貰えるのか?
令和2年度の国民年金と厚生年金の支給額は以下の通りです。
厚生労働省(HPはこちら)
国民年金(月額) | 65,141円 (1人分) |
厚生年金(月額) | 220,724円 (夫婦2人分の老齢基礎年金を含む) |
日本の公的年金は2階建ての構造になっており、雇用形態によって加入できる年金が異なります。
参照元: 厚生労働省 「いっしょに検証!公的年金」
会社員や公務員の方は、国民年金と厚生年金に加入できますが、自営業者やフリーランスの方は、国民年金しか加入することができません。
つまり自営業者やフリーランスの方は、会社員や公務員の方に比べて受給できる公的年金が少ないのです。また会社員や公務員の方でも、上記の通り、夫婦2人で月額約22万円しか受け取ることができません。
月22万円で生活することが可能であれば問題ありませんが、足りない場合は自分の貯蓄を取り崩す必要が出てきます。それでは実際に、老後の生活費はどれくらいかかるのでしょうか?
老後にかかる費用はどれくらい?
公益財団法人生命保険文化センターが行った意識調査では、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費は、月額で平均22.1万円となりました。
さらに同調査では、「ゆとりのある老後を送るための費用」も調査し、その金額が月額で平均36.1万円となったようです。
これらの結果を踏まえ、先ほどの公的年金の受給額と比較すると、厚生年金受給権者で日常最低生活費がギリギリ確保できる状態です。
一方、自営業者やフリーランスの方は、国民年金7万円しか受給できないため、公的年金だけでは生活できる金額ではないといえます。
また日本の年金制度は、「賦課方式」といい、現役世代が払った保険料を、高齢者が受け取る仕組みであり、今後少子高齢化が進めば、年金受給額が減らされることも考えられます。生活費と公的年金受給額の差額については、自分の自助努力で用意するしかないのです。
老後は公的年金以外に2,000万円必要?
老後は日常最低生活費だけではなく、介護費用や医療費が別途かかってくる可能性があり、政府の発表にもありましたが、2,000万円の貯蓄があれば安心できるといえます。
2018年の簡易生命表によると、平均寿命が以下のようになっており、共に過去最高を更新しました。
男性の平均寿命 | 81.25歳 |
女性の平均寿命 | 87.32歳 |
今後も平均寿命が伸びていくことが考えられ、これからは人生100年で人生設計をしなければならないといえます。
仮に60歳まで働き、年金生活に入ると100歳まで40年間を過ごすことになります。それを踏まえ、下記でシミュレーションを実施しましょう。
老後にかかる生活費
- 夫婦2人(厚生年金受給権者)
- 老後の日常最低生活費の月額は22万円と仮定
- 100歳まで生きる前提で計算
- 公的年金受給額は65歳から100歳までの35年間で、20万円で計算
- 1年間の不足金額:(22万円 – 20万円) × 12カ月 = 24万円
- 35年間の不足金額:24万円 × 35年 = 840万円
※公的年金の受給金額は、現役時代の掛金や加入年数によって変わるため、上記のシミュレーションの金額が上下する可能性があります。
ここで介護費用について見てみましょう。
老後の介護費
生命保険文化センターの調べによると、老後の介護費用や期間は以下のようになっています。
老後の平均介護期間 | 54.5カ月 |
一時的な介護費用 | 69万円 |
月々の介護費用 | 7.8万円 |
これらを加味し、自己負担でまかなう必要がある介護費用は、以下の通りです。
老後の介護費用 | 54.5カ月 × 7.8万円 = 425.1万円 |
一時的な介護費用 | 69万円 |
合計金額 | 494.1万円 |
老後の医療費
医療費については、健康保険や高額療養費などの制度があるため、自己負担額は少なく済みます。
特に高額療養費は医療費を世帯で合算することができるため、たとえば2人が70歳以上で、同じ保険に加入している場合、それぞれが100万円ずつ医療費がかかったとしましょう。
この時2人合わせて医療費が200万円かかっていますが、負担する金額は月額約5.7万円ほどで済みます。これらを踏まえ、多く見積もって夫婦二人で300万円と仮定します。
老後にかかるお金の合計
- 老後にかかるお金の合計金額
- 840万円(生活費と公的年金の不足額)+494.1万円(介護費)+300万円(医療費) = 1,634.1万円
概算ではありますが、夫婦2人の公的年金以外に必要なお金は少なくとも約1,600万円です。さらに60歳で退職し、年金を受給する65歳までの5年間は無収入となるため、それらを加味すると、最低でも2,000万円は用意しておきたいところでしょう。
老後の準備で活用できる仕組み3選
老後の不安を解決するためには、自助努力で貯蓄する必要がありますが、銀行預金だけでそのような大金を用意することは困難といえます。
近年は超低金利時代といわれ、定期預金金利は大手銀行でも0.001%で、100万円を1年間預けても10円の利息しか得られません。
そこで定期預金だけでは貯蓄を効率的に増やすことができない今、資産運用で貯蓄を増やす方法に注目が集っています。老後の不安は政府も一定の理解を示しており、資産運用による老後の資金作りを後押しする制度を用意しているのです。
iDeCoや企業型DC
iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DCは、公的年金に上乗せする形で、自分で年金を作る制度です。
大企業などにお勤めの方は、福利厚生の一環として企業型DCが用意されていましたが、制度がない会社にお勤めの方は、利用することができませんでした。
そこで2016年に改定確定拠出年金法が成立し、2017年1月からiDeCoは加入対象者が拡大され、ほぼ全ての現役世代が利用できる制度となりました。
iDeCoや企業型DCは、自分で運用する投資商品を選択し、自己責任で運用していきます。基本的に60歳まで受け取ることができず、老後資金が目的の制度です。
自分の掛金に応じて、所得税や住民税を安く抑えることもできるため、節税対策としても注目が集っています。
IDECOは節税しながら年金を作れるということで、僕も運用しています。住宅ローンと併用する場合は、収入によって注意する必要があるため計算してみる必要があります。
自分で計算するのが難しいという場合はFPに相談も可能です。無料で資産の相談をしてみるのがおすすめです。
住宅ローンについて無料相談
つみたてNISA
2018年1月に、長期的な資産形成を目指す目的として、つみたてNISAが始まりました。
つみたてNISAのメリットは、20年間で投資で得た利益は全て非課税になることです。
投資による売却益や、配当金・分配金を受け取ると、利益に対して所得税・住民税合わせて20.315%の税金がかかります。つみたてNISA内の口座で取引すれば、20.315%の税金が全て非課税となります。
またiDeCoや企業型DCと異なり、「60歳まで引き出し不可」という縛りもなく、いつでも売却してお金を引き出すことができます。
貯蓄性の保険
保険は万が一の時に経済的な負担を緩和する目的で加入することが多いですが、老後に備えて貯蓄する商品もあります。
最も一般的な保険商品は個人年金保険で、iDeCoや企業型DCと同様に、現役時代に掛金を拠出し、老後になり貯蓄したお金を受け取るものです。
実は個人年金保険も、iDeCoや企業型DCと同じように、自分の掛金に対して所得税・住民税が節税できる仕組みがあります。
ところが、iDeCoや企業型DCは掛金全額が節税の対象となる一方、個人年金保険はどれだけ掛けても1年間に4万円までしか対象になりません。
iDeCoの加入対象者拡大の前は、多くの方が利用していましたが、最近は利用者が減少しています。個人年金保険に加入するためには、民間の保険会社で契約する必要があります。
老後が不安ならばFPへ相談する
老後の不安は、多くの現代人の悩みの一つです。人生100年と言われ、公的年金の財政も心配されるなか、自助努力で老後資金を作らなければ不安が消えることはありません。
最近では老後資金を作る様々な仕組みが誕生していますが、選択肢も多いためどれが正解かわかならなくなることもあります。
そのような場合は、お金のプロであるファイナンシャルプランナーに相談するといいでしょう。関連記事の中ではファイナンシャルプランナーの相場や相談内容についても紹介しています。こちらも一緒にご覧ください。
ファイナンシャルプランナーは、個人的な悩みにも相談にのってくれ、広い視野で自分にとって最適な資産形成を提案してくれます。
最初の相談に関しては、無料のファイナンシャルプランナーも多いため、まずは気軽に相談してみるのもいいでしょう。
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