住宅ローン控除とふるさと納税は併用することで損をしてしまう人とは?

ふるさと納税って気になる。節税できておいしいものが食べられて一石二鳥。でも住宅ローン控除を受けられていると控除額が心配。
今回はこのような悩みを解決する内容の記事となっています。以下の2点を詳しく理解できるようになっています。このあと説明していきます。
住宅ローン控除やふるさと納税について全く知らない人でも、併用するためのポイントをわかりやすく解説しますのでぜひ参考にしてみてください。
- 住宅ローン控除を受けていてもふるさと納税との併用は可能である
- ふるさと納税を利用することで住宅ローン控除が減ってしまう人はどのような人
Contents
- 住宅ローン控除とふるさと納税は併用可能
- 住宅ローン控除の節税の仕組み
- 住宅ローン控除は税額控除を受けられる
- 住宅ローン控除の例
- ふるさと納税の節税の仕組み
- ふるさと納税は所得控除を受けられる
- ふるさと納税の例
- ふるさと納税と住宅ローン控除の関係
- ふるさと納税を利用することで住宅ローン控除額が減ってしまう人
- 住宅ローン控除で所得税が控除しきれないと住民税が控除される
- 住宅ローン控除で所得税が控除できない例
- ふるさと納税の制度を利用した場合
- 住宅ローン控除を受ける最初の年は確定申告が必要
- まとめ
住宅ローン控除とふるさと納税は併用可能
住宅ローン控除を受けられている人の中で、ふるさと納税が併用できるのか気になっている人もおられると思います。冒頭でも書いた通り、住宅ローン控除を利用している人でも、ふるさと納税を併用することは可能です。
しかしふるさと納税を利用したことにより、住宅ローン控除を満額受けられないケースもあります。
また住宅ローン控除もふるさと納税も共に節税効果がある制度ですが、控除される流れと仕組みが異なります。それぞれの制度をしっかり理解しておかないと、返って損をしてしまうこともあります。
住宅ローン控除とふるさと納税の制度について説明していきます。
住宅ローン控除の節税の仕組み
住宅ローン控除は、節税効果が高い制度ですが、税金が控除される仕組みが少し異なります。
税金と聞くと拒否反応を示す人がいますが、一度わかると節税の意識が高まるので理解すると今後の長い人生に役立ちます!
住宅ローン控除は税額控除を受けられる
住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高に対して1%が最長13年間(※)に渡って税額控除される仕組みです。※基本的に10年間控除を受けられるが、2019年10月以降に利用した場合は、特例で13年間となる
住宅ローン控除の例
たとえば年末の住宅ローン残高が3,500万円だったとしましょう。この場合3,500万円の1%である35万円が、所得税から控除されます。
源泉徴収票を受け取っている人であれば、源泉徴収票の「源泉徴収税額」から、35万円が差し引かれると思ってもらうとわかりやすいかもしれないです。
源泉徴収税額から年末の住宅ローン残高の1%が控除されるため、中にはその年の所得税額が0円となる人もいます。住宅ローン控除は様々な制度の中でもとても節税効果が大きいといえるでしょう。
ふるさと納税の節税の仕組み
ふるさと納税は本来の所得を減らすことで、所得にかかる税金を減らせるというものですね。
ふるさと納税は税額控除を受けられる
ふるさと納税は税額控除ではなく、所得控除という仕組みで節税できる制度です。
所得控除とは、所得から差し引かれる金額のことで、他にも「扶養控除」や「生命保険料控除」などがあります。
ふるさと納税の例
モデルケース1 | |
・年収: 500万円(給与所得) ・ふるさと納税の控除額:3万円 |
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①給与所得控除額(会社員の経費のようなもの)の計算 | |
500万円 × 20% + 54万円 = 154万円 | |
②給与所得控除後の金額 | |
500万円 – 154万円 = 346万円 | |
③課税所得の計算 | |
346万円 – (基礎控除38万円 + 社会保険料控除75万円 + 寄付金控除3万円) = 230万円 ※基礎控除:どのような人でも一律で38万円が控除される ※社会保険料控除:年金や健康保険を払った金額が全額控除される(今回は75万円と仮定) ※寄付金控除:ふるさと納税で控除される金額(ふるさと納税で控除が受けられる金額) |
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④所得税額の計算 | |
230万円 × 10% – 9.75万円 = 13.25万円 *収入に対しての税率10%,控除額9.75万円 |
ふるさと納税の金額を3万円から8万円に増やしたとします。その場合課税所得が230万円から225万円に減らすことができます。
つまりふるさと納税の金額を増やすことで、所得控除の金額が増え、最終的に所得税額を抑えることができるのです。
ふるさと納税と住宅ローン控除の関係
住宅ローン控除は、上記④の13.25万円から、年末の住宅ローン残高の1%が税額控除されます。
住宅ローン控除とふるさと納税は、ともに節税効果がある制度ですが、税金が控除される仕組みが異なります。
ふるさと納税を利用することで、住宅ローン控除額が減ってしまう人がどのような人なのか見ていきます。
ふるさと納税を利用することで住宅ローン控除額が減ってしまう人
ふるさと納税を利用することで、住宅ローン控除額が減ってしまう人は、課税所得が低く住宅ローン控除の控除上限額に達してしまった人です。
実は住宅ローン控除額は、控除上限額が設定されており、それを超える金額は控除されないのです。
住宅ローン控除で所得税が控除しきれないと住民税が控除される
所得が低く、住宅ローン控除で所得税が控除しきれないと、翌年の住民税から税額控除を受けることができます。
ただし1年間に控除される上限が所得税で40万円、住民税で13.65万円となっています。
つまり所得税で40万円を超える住宅ローン控除額がある場合、住民税で残りの控除額が控除されますが、住民税は13.65万円を超える金額は控除されないのです。
住宅ローン控除で所得税が控除できない例
モデルケース2 | |
・所得税額:20万円 ・住民税額:30万円 ・年末の住宅ローン残高:3,500万円 |
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①住宅ローン控除額を計算する | |
3,500万円 × 1% = 35万円 | |
②この年の税額控除後の所得税額を計算する | |
20万円 – 35万円 = -15万円 ⇒ 所得税額がマイナスであるため、この年の所得税額は0円 |
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③税額控除後の住民税額を計算する | |
30万円 -13.65万円(※) = 16.35万円 |
(※)所得税で控除しきれなかった金額が15万円だが、住民税の控除上限額が13.65万円
つまり上記のような場合は、所得税で控除しきれなかった金額15万円のうち、1.35万円は控除されないままになるのです。
ふるさと納税の制度を利用した場合
所得税を控除できなかった上にさらにふるさと納税を行った場合、寄付金控除が増えて所得税額が減っていきます。
所得税で控除しきれなかった金額は住民税から控除されますが、住民税の控除上限額を超えてしまうと、住宅ローン控除の恩恵をフルに受けることができなくなります。
ふるさと納税を利用し、住宅ローン控除の控除額を減らさないためには、源泉徴収票の源泉徴収税額を確認し、住民税の控除上限額に達しないようにする必要があるでしょう。
住宅ローン控除を受ける最初の年は確定申告が必要
住宅ローンを最初に受ける年は、どのような人でも確定申告を行う必要があります。1年目に確定申告を行えば、それ以降は行う必要はありません。
そしてふるさと納税と併用する場合は、特に注意が必要です。ふるさと納税で控除を受ける際、「ワンストップ特例制度」を利用することで、確定申告をしなくても済みます。
ところがワンストップ特例制度は、確定申告を行うと無効になってしまうのです。つまり確定申告をする場合、ふるさと納税で寄付した金額も計上しなければ、所得控除を受けることができないのです。
住宅ローン控除を受ける最初の年は、ワンストップ特例制度を利用したとしても、確定申告でふるさと納税の金額も忘れずに計上しましょう。
まとめ
住宅ローン控除とふるさと納税は併用することは可能ですが、自分の税金を綿密に計算しておく必要があります。「節税のために」と思って行ったことが、全く節税効果がないのは誰しも避けたいことでしょう。
税金の計算はとても複雑で専門的な知識も必要です。僕はフリーランスなので税金の勉強もしています。税金やお金の計算は苦手な方ではありません。
どうしても苦手だという方は無料でFPに相談もできるので、そのようなサービスを利用すると良いアドバイスをもらえると思います。
2000円で松坂牛をたくさん食べれると思っていたのに、控除できない金額が5万円もあったらただの高い松坂牛を買ってきて食べただけになりますね。
住宅ローン控除やIDECO、またふるさと納税などで節税するつもりが損をしてしまっていたということにならないように注意してください。